スペインもポルトガルも伝統陶器が豊富だった国ですが、残念ながら近年どんどんと窯がクローズされています。そんな中、72歳でも現役、アレンテジョ地方伝統陶器を守るメストレ・シコ氏の器を皆様に知って欲しくて工房へ行って参りました。
アレンテジョ地方の陶器の特徴は、何とも言えないナイーブさにあります。初めてこの地域の陶器を見た時は、日本ではありえないと思ったのですが、色々見ていくうちにこのナイーブさの虜になってしまいました。かわいい風景や動物などのモチーフがメインですが、昔から変わらぬナイーブさが表現されていて驚きます。
人形が住んでいたような建物がアレンテジョの伝統家屋で、地形に合わせて小さい建物が付け加えられたように連結されています。動物も人間も同じ場所で仲良く暮らしていたことが垣間見えます。
今回はオリーブを収穫、イベリコ豚の飼育をしている姿など、地域の人々の姿が見えるものと、アレンテジョの家並みを描いたものをお届けしますが、昔からの黄色とグリーンを使う器も次回お届けしたいと思います。メストレは人気があるので、数に限りがあるのですが、やっと今回は幾つか入手できました。以前、お皿1枚しか買えなかったこともあるくらいです。
メストレは地域でも長老となった有名な陶芸家ですが、昔から日本でも雑誌などで紹介されたことがあるそうで、嬉しそうに雑誌を奥から引っ張り出して見せてくれました。
初めてこの町を訪問したのは30年以上前の事なので、もう他界してしまった有名な陶芸家の事もよく覚えているのですが、50年以上活動していた陶芸家の作品は、言葉にならないやさしさと可愛さがありました。マルテロという陶芸家でしたが、実はパワジオ倶楽部でも大昔に展示販売したことがあります。彼の作品はもう手に入らなくて、アンティークショップなどで見かけると当時の3倍くらいの価格になっています。
メストレもマルテロと同じように伝統工芸を守っているので、誰もが高く評価していますが、今後どれだけ続けられるかわかりません。昔から変わらぬ温かさを持つアレンテジョの暮らしを豊かにしてくれる陶器、是非手に取って楽しんでみてください。私の周りにも数枚ありますが、いつ見ても元気にさせてくれますし、アレンテジョ地方の光を備えています。
chiho
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