タイルというとスペインやポルトガルが有名ですが、
実はポルトガルにあるタイルの伝統も起源はスペイン南部と言われています。
スペインは800年近くの間イスラム文化の影響を受けていたので、
特に南部アンダルシアにはアラビアンスタイルの建築様式が残っています。
スペインのアラビアンスタイルは独特で、
古代ローマ時代の建築様式もミックスされているので【ヒスパーノ・アラベ】と呼ばれます。
この古い伝統は今でもしっかりと生きた伝統として残っており、
たくさんの家が素敵に飾られています。
地域の伝統陶器やタイルが窓辺に飾られていますが、
白壁に伝統陶器の色合いが本当によく合うのです。
古い建造物の場合、それがもっと豪華になるのですが、
階段一段一段にもタイルがはめ込まれています。
場合によってはアンティークタイルの古さは15世紀くらいまで遡り、贅沢の極みのような素晴らしい状態で残っています。
この階段もリフォームを続けながら使われています。
これは幾何学模様のタイルを貼った壁ですが、
腰のあたりまでタイルが壁面を覆い、
暑さをしのげるようになっています。
イスラム文化の影響で、スペインでは女性は椅子に座らず、
床にクッション(座布団のようなもの)を使って座っていたので、
壁はタイルになっており、屋内はとても涼しい環境が作られています。
アルハンブラ宮殿と同じように、
豪華さは違ってもタイルを屋内に使う習慣は広く暮らしに浸透しており、今でも深く根ざしています。
ガーデンの中でも陶器は必需品で、植物をより美しくしてくれるので、
パワジオ倶楽部ではオープン当時からテラコッタや伝統タイルを取り扱っていますが、
これからも益々この伝統が暮らしに浸透したらいいと思っています。
オリーブの木をテラコッタポットに植えたり、
庭にタイルを添えたりすると、植物からだけでなく、
人間の手のぬくもりともコンタクトがとれます。
次回は少しアルハンブラの今の様子をお伝えしたいと思います。
小野塚千穂