皆様クリスマスシーズンどんな風にお過ごしですか?スペインでは1月6日くらいまで色々な行事があり、頻繁にご馳走続きです。
本当はクリスマスに間に合わせたかった美しい朱色の調味料『ピメントン』がやっと入荷となりました。『ピメントン』と言われてもピンと来ない人が多いと思うのですが、日本ではパプリカとして有名です。スペイン産のパプリカはピメントンと呼ばれ、アメリカ大陸発見後コロンブスがヨーロッパに持ち帰った唐辛子が起源です。修道院で品種改良が進み辛すぎないものが作られ、生活に欠かせない大切な調味料になりました。
ピメントンは綺麗な発色の調味料なので、皆さんきっと料理の色合いを美しくするために使うことが多いと思います。ハンガリー料理の好きな方は特にパプリカの使用量が多いことでしょう。但し、スペイン産、特にラヴェラ地区のDOPで保護されているピメントンは通常のものと違い、エンシーナ(セイヨウヒイラギ樫)という樫の木の薪を使ってスモークされます。
写真はスモークの様子ですが、個室に1トン以上のピメントンが収穫後運び込まれ、10日以上掛けてスモークされます。その作業がすごいのですが、ピメントンは傷をつけないようにシャベルのような道具を使って人力で焦げないように、一日何度かかき混ぜられます。私も一瞬この部屋に入ったのですが、煙で呼吸が出来ずに10秒居るのも困難でした。作業員の人は一日何度もこの部屋に入って作業をするわけですから重労働です。美味しいものを作るためにはやはり大変な作業があるものです。
燻製されたピメントンは20キロ単位で袋詰めされ別の倉庫へ運ばれ、今度はパウダー化するための作業が行われます。写真に写っている男性がミゲール・ロペスさんで、この会社のオーナーです。75歳で現役、ファミリー経営の会社ですが、やはり一番ピメントンの栽培から製品化まで詳しいのはオーナーで、必ず付きっ切りで詳細説明をしてくれます。その時の嬉しそうな笑顔が素晴らしいのですが、誇りを持って仕事をしている人は、どこへ行っても仕事を本当に楽しんでいる様子が分かります。
ピメントンは写真のような電動の石臼を使ってパウダー化されます。1回石臼に掛けるのではなく完璧なパウダーにするには、6回に渡って石臼で擦られるのです。これには驚いたのですが、このようにしてベストコンディションのパウダーになったピメントンの最高のものだけが、ラスエルマーナスブランドの缶入りのピメントンになります。
完成したピメントンは独特なスモーキーな香りを放ち、見ているだけでも元気をもらえるような色合いです。写真は1回目から6回目までのパウダーの違いを説明するためのボード。すごい手間が掛かっているのです。
このピメントンを輸入するために6月から準備をしているのですが、今年9月に収穫されたものは燻製が終わり、11月12月にパウダー化されます。日本に届いたピメントンは、11月に完成した出来立てのものです。オリーブオイルと同じようにピメントンにも旬があり、フレッシュなものを消費するのがやはり風味的には一番です。いつも最高のものをベストなコンディションで皆様にお届け出来るよう努力しておりますので、今回のものもピメントンの中では世界一のクオリティだと思っております。
種類はスイート、ビタースイート、スパイシーと3種類あります。どれも万能ですがスイートは全く辛さがありませんので、お子さんに使っても大丈夫です。セミスイートは調理用にベストですが、若干辛さがありますが微々たるものです。スパイシーはスペイン人にとっては辛く感じるかもしれないのですが、日本人には程よい辛さです。
次回、どんな風にピメントンを使うといいか、今人気のアヒージョなどのレシピと共にご紹介します。
chiho