忙しいのに雨あめの日が続き仕事がはかどらないので、搾油所のリポートがすっかり遅くなってしまいました。今までに3つの違うオリーブオイルのソムリエコースや大学でのテイスターコースに参加していますが、オリーブ業界での技術的また農業学的な進歩は著しく、色々な技術進化を重ねた搾油所についての情報は、優れた搾油所のプロの『マエストロ・デ・アルマサーラ』=『搾油所のマエストロ』という責任者から学ぶのが一番のように思います。
収穫されたオリーブはここに運ばれて来ます。ここまではまだ驚くものは何もない普通の搾油所でした。
クリーンになったオリーブの実が一番右の粉砕機に入れ攪拌されていきますが、そのラインの数がここは普通ではありません。2つラインがあっても贅沢なのに、ここにはそれが6ラインあります。これにはオリーブ搾油機製造メーカーのPIRRALISIの技術者も驚いたようで、スペイン国内でこの最新のラインがこの規模で備えられているのはここだけだそうです。
メリットは収穫された実をベストタイミングで攪拌できるところにあります。この搾油所のオイルはほとんどが収穫から2時間以内くらいには絞られてしまうそうです。どおりでハイクオリティな理由です。
値段は聞いたことがありませんが、とにかくこの機械だけでも莫大な投資です。
筒状の機械が水平の遠心分離機で、これでオイルと水とカスが区分されます。
写真からでも分っていただけると思いますが、このクリーンさが圧搾所には不可欠。コールドプレスをエクストラヴァージンが実施しているのは当たり前のことですが、この清潔さを保つのが困難なのです。オイルは非常にデリケートなものなので、どんな汚れもキャッチしてしまうのです。
この設備なんだかわかりますか。あまり普通の搾油所にはこんなすごいのはありません。これが農園全体の水の管理をしている装置。灌漑システム用の水だけでなく、搾油所の水の管理もしています。こんなすごい水の施設を搾油所で見るのも始めてです。
また搾油所に逆戻りしたみたいな写真ですが、これは同じ搾油室ではなく第二の搾油室。ここではこちらの農園ブランドとして販売されない、クオリティーランクが少し落ちているオイルが搾られています。またまたビックリ!
ステンレスタンクの多さにも驚きました。これだけあればオイルの品種別の管理もしっかり出来ますからオイルのクオリティーが高く、バリエーションが豊富なことも分かります。
こちらがフィルター。
この農園のオイルはフィルターにかけられています。フィルターについては賛否両論ありますが、私が見る限りマエストロの能力とフィルターの種類によっては、素晴らしいオイルを完成させることができると今は思っています。以前は絶対にノンフィルター派だったのですが...ご覧のとおりフィルターに関しては、超最先端のものではなく、少し古いマニュアル式のものが優れているようです。但し、このフィルターを使いこなすのはマエストロ次第ですから、マエストロの嗜好と技術が大切となります。
もちろん、搾りかすの種は燃料になっています。
剪定された葉は肥料になると同時に、家畜の餌としても使われており美味しい羊乳が出来るそうです。将来はチーズも登場する予定。
驚いたことはもっとあるのですが、これ以上書くと混乱するので今回はこの辺で。
最後に一枚興味深い写真です。このタンクは封印されていますが、これはコンクール用のオイル。世界一重要なコンクールに参加するためです。受賞できるといいのですが。
chiho